境内にアライグマ
2022.6.22|法話・感話
動きもどんくさい、子どものアライグマ
ここ、河内の太田でもカラスやイタチ、先日はアライグマが境内を歩いているのを見つけ驚きました。二匹の子どものアライグマで写真に撮るとあどけない可愛い表情を見せていました。ところがご門徒さんへのお参りの時この話をしますと、「うちでは飼っていた鯉や金魚が食べられ、丹精を込めて作ったイモや野菜など農作物を荒されてホトホト困ってます」とのことでした。残念ながら可愛い、子アライグマもアットいう間に成獣になって人の生活に大きな被害を与えるということで、私達の世界では「害獣」扱いとなってしまうのです。
聞けば困っておられたお宅は市役所に相談されて、捕獲ケージを置いたところ、たった二日で雄の大きなアライグマが掛かって連れていかれたとの事。場所やタイミングを考えるとどう見ても、私の見た二匹の子アライグマの父親になるなと、複雑な心境になりました。
この状況では残念ながら、駆除も当然で、私もそうするしかありません。
まさに「ひょっこりはん!」
以前、北海道で鹿の乱獲から家畜を襲うようになったエゾオオカミに困り、退治したところ今度はオオカミの絶滅を引き起こし、天敵の居なくなった鹿の再増加で森林破壊が起こったことなど笑えない話を聞いたことがあります。よくよく考えて見れば、全ての命が実は共に支え合っているということを忘れた人間の浅知恵、身勝手さを思わずにはいられません。
共に支え合っていることを忘れて、人間の都合で嫌いなものは排除し、好むものは大事にする。また、可愛いかったものが状況が変わり邪魔になればアッと言う間に排除してしまう私たちです。よく考えてみなければなりません。全ての命は、人間の好き嫌いといった都合に関係なく、それぞれが一つの命として輝き、互いに支えあっているのです。何処にも無関係の命は無いのです。