すさみの星空2019
2019.11.1|

10/30-31

前線通過に伴い、天気が安定しそうなので
この辺りでは一番暗い空の有る「すさみ」まで遠征して
星を見てきました。(同行3人、現地2人)

予想はほぼ当たって、晴れ間が広がり綺麗な星空をみることが
できたのですが、何となくいつもの真っ暗な「締まった空」
ではありません。原因は黄砂でした。黄砂は春のものと
思っていましたが、秋にもあるのですね。

現地に◯村さんも来ており、氏の50cmドブであちこちの
星雲を眺めました。はくちょう座の網状星雲の様子や
オリオン大星雲の茶色系の色や細かな暗黒帯の揺らぎが
これほどまでにリアルに見えるとは。

 

日没後二日月と右下に微かに見えはじめた金星

 

オリオン座が登ってきました。

北の星の動きと本堂
2018.9.25|

 

北極星を中心した、北の星空の動きです。

夜空の明るい八尾の空では、少し前のフイルムカメラでは

昼のように 真っ白になってこのような写真は写すことが

できませんでした。

最近のデジタルカメラを使って、短い露出を何十枚も重ねると

このような長時間露出した星の動きが写せるようになったのです。

合計の露出時間は60分

 

中心のほとんど動いていない星が北極星、右端の木の枝の

間を登るのがカペラという一等星です。

アメリカ皆既日食2017
2017.8.27|

お盆のお勤めのあと、暫くお休みをいただき、お寺を若院に託して

アメリカ大陸で起こった皆既日食を見てきました。

 

ときは2017年8月21日、場所は北米大陸の西部、アイダホ州レクスバーグです。

かつて冬季オリンピックが開催されたソルトレイクシティからさらにバスで

4時間、砂漠気候の中、麦やジャガイモ畑、牧場がひろがる広大な田舎町でした。

 

ダイヤモンドリング

 

午前11時33分、皆既になる直前、太陽の光が少し残ったときに見られる

「ダイヤモンドリンク」とよばれる様子です。そのあとの2分あまりが闇夜になり

ふだん全く見ることができない「コロナ」が黒い太陽のまわりに輝きました。

望遠鏡では無数の流線が入り乱れ、もったいないぐらい「神秘的」の一言でした。

 

コロナ

 

闇夜といっても月明かりのある夜ぐらいの明るさの空でしょうか、空にはコロナをはさんで

金星や木星が見え、少し離れたところにうしかい座の一等星も確かめることができました。

深い漆紺の空にぽっかりとコロナが輝き、地平線360度にわたり夕焼け(日食焼け)

のようなオレンジ色に囲まれ、集まったたくさんの人々の歓声とカメラのシャッター音が

響いていました。

 

皆既中の周辺状況

アイダホ州レクスバーグにて

 

気が付くと真っ赤な紅炎がみえ、太陽の光が戻りはじめる二度目のダイヤモンド

リンクとともに皆既は終了しました。

 

日食は太陽を手で覆うと太陽が見えなくなる、という簡単な事と同じなのですが、

手の代わりに月が宇宙空間で太陽を隠すことから、白昼に一瞬の闇が訪れ、昔から

驚き恐れられてきたのです。

 

科学の発達した現代では月日どころか、分、秒まで正確に計算され予告された通りに

起こります。当たり前のようで不思議な感覚になりました。

 

1サロス後の2035年9月2日には日本の能登から長野を通り水戸に抜ける皆既食が

あります。住職はその時84歳(杖をついてでも?この世におれば)

NHK.BS 「地球という星をつかめ 伊能忠敬」に住職出演
2016.12.22|

ひょっとしたら番組に登場するカモ、と定例でもお話ししていました

NHKBSプレミアムの放送が12月22日ありました。

 

岡本信人、扮する伊能忠敬が地球の大きさ計測へ挑戦することを

テーマにした真面目な科学番組ですが、北海道別海町での実地観測の場面で、

数秒ですが住職が登場しました!

復元した子午線儀で地元の高校生が観測する場面で、ミドリ色のレーザー

ポインターで観測星を案内したり、ちょっとしたコメントでの登場です。

まばたきしたら見過ごすぐらいの短時間でした(笑)。

 

放送終了後、「見ましたよ」メールを戴いたり声がけを頂きました。

感謝です。(10/21記事参照)

 

1月5日0時~、再放送

「NHKBSプレミアム「コズミックフロントNEXT地球という星をつかめ 伊能忠敬」

 

番組TV画面より

 

緑のレーザーで星を案内しました。

伊能忠敬の歩いた北海道
2016.10.21|

~ 住職のとんぼ帰り旅行記 10/18-20 ~

伊能忠敬の時代には北海道は蝦夷(えぞ)と呼ばれていました。

忠敬は日本列島の姿を始めて正確に測量し、日本地図を完成させた

偉人と紹介されています。

今回、NHKからご依頼があり、忠敬が歩き、実際に星を観測した地に立つ

ことができました。場所は北海道別海町の海岸。大阪の伊丹空港から

羽田で乗継ぎ、道東の中標津に降立ちました。車で走り出すと北海道の

秋がみごとで、地平線まで真っ直ぐの道、周辺は広大な牧場や白樺と

紅葉の林、空港から一時間余りで現地に着くことができました。

 

秋の北海道 尾岱沼から知床半島を望む

 

現地では、今回のチームの手になる「子午線儀」が既に完成して

いました。忠敬が天測のため持ち歩いた子午線儀を復元したとか。

 

地面に南北線を引き、北と南に長短の棒を垂直に立て、白い糸を張り、

糸の下に観測者が寝転がり目標の星の南中を観測するというのが

子午線儀の仕組みです。糸一本では観測者の目の位置で誤差が生じる

ため上下複線にし、糸が弛まないように、糸の最後に錘をつけます。

錘を桶に水をはった中に入れてあるのを不思議に思いましたが、

観測中の風の影響で糸が揺れないようにという工夫と聞いて恐れいり

ました。「昔の人は偉かった」の言葉通りのようです。

 

子午線儀

 

別海町の海岸に「伊能忠敬測量隊・最東端到達記念柱」として碑が

建っていました。忠敬の最終の目的は「地球の大きさを知りたかった」

らしく、日本地図作りはその副産物といってもよいくらいだそうです。

今回は衛星放送の番組で忠敬を特集し、科学番組を作るということが目的。

忠敬が行った観測を、同じ現場で現代の学生さんが観測する。

特定の星の南中を決め、同時にその星の南中高度を横で観測するという。

ただ星の素人ばかりで実際にどの星を見るのかを順にレーザーポインターを

使って案内するのが、今回の私の役目でした。

 

日没後、星が見え始め、白鳥座のデネブから観測は始まりましたペガサス

の星まで、十数個の星の南中を観測することができたのです。これを、

200年前に、チョンマゲ、脇差、袴、わら草履の忠敬測量隊一行が

行ったのかと思うとなんとも言えない感慨を覚えました。

江戸から蝦夷までを数カ月かかって海岸線を歩き、星の高度の変化を

観測する。やがて、緯度1度の距離を約28里と求めた。その結果、

地球の半径を約6400Kmとほぼ正確に決定していったという。その努力に

ただただ感動するものです。

 

北へ行けば行くほど北極星の高度が高くなり、南の星は低くなる。

忠敬が地球の丸さを体感していたことを、私たちも時を越えて感じた

ものでした。

 

忠敬は四九歳で家業を引退、家督を息子に譲り七三歳で亡くなるまで、

自身の興味関心の本当のことが知りたいことを学習し実践しました。

古代インドの人生観には四住期という見方があります。

人生を学生期、家住期、林住期、遊行期に四つに分けるという。

忠敬のこの偉業を思うとき、この林住期という人生のクライマックスに、

地球を測るということに捧げた、得難い求道者のようにも思えるのです。                (住職)

 

〇番組放送は12月22日22時~、NHKBSプレミアム・コズミックフロント「伊能忠敬」の予定

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