田があれば田に悩み
2021.1.23|法話・感話
無量寿経の中には私達にも分かりやすいように様々なことが
説かれています。例えば次のような言葉があります。
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田があれば 田に悩み、家があれば 家に悩む。
牛馬などの家畜や、金銭・財産・衣食・家財道具…、
さては使用人にいたるまで、
あればあるにつけて 憂いはつきない。
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なるほどと思いますね。
長いあいだ畑仕事をされてこられた婆さんが、「草取りが大変なんじゃ、
ほれ見てみ、腰がこんなに曲がってしもうた」「腰が痛い、膝が痛い」
「あんな広い畑はいらんのんじゃ」と。
ところが、畑を持たない人にとっては「なに贅沢ゆうとる、羨ましいのう」
「野菜植えたり花咲かせたり、柿の実もいだり」「いざとなって売ったら
大金持ちや」と。
金銭・財産・衣食・家財道具…、有ればあったで、相続ともなれば仲の良
かった兄弟で喧嘩沙汰になったり、こんなことやったら無かった方が良
かったという話はよく聞く話です。
無ければ ないで、また それらをほしいと思い込むのが人間です。たまたま、
ひとつが得られると、他のひとつが欠けてしまい、あれば あったでまた又
あれがない というありさまですから、結果すべてを取りそろえないと気が
済まんようになる。人間とはほとほと厄介な生き物です。