本当のご利益
2021.10.19|法話・感話
親鸞さんの生きた平安末期から鎌倉時代、流行り病に当然ワクチンはないし、
特効薬もありませんでした。
ただ、祈る時代の疫病だったから人は当然次のように言うはずです。
「ぼんさん、どうにもならんのか」
「こういう事には力にならんのか」
それは現代でも同じ、東日本大震災でも言われたことです。
しかし親鸞さんの文章には「疫病退散のまじない」は無いのです。
お釈迦様もそうでなかった「病気にならない法」は説かなかった。
「不老長寿の法」「死なない法」「死者を甦えさせる法」等々が期待された時代ですが
一切説きませんでした。
ときに「仏教ってご利益が無いんですね」と言われることもある。
本当のご利益とは何かを尋ね極めたのが親鸞さんであり、お釈迦様なのです。
私たちは目の前の都合の悪い事を取り除けが「助かった」と言う。
あれば、問題はまた起こる。そしてまた取り除いてもらわないといけない。
それは、ずっと問題から逃げ続ける生き方になるではないか。
様々な事が起る中で、逆境であっても順境であっても生きていける。
たとえ失敗しても、上手くいかなくても、病気になっても強く生き抜ける。
極端な話が、死んでもあたりまえと頷けるたくましい生き方が本来の念仏なのだと。