法話・感話

終戦の日
2019.8.15|法話・感話

月参りでのお話し  終戦の日

 

「院主さん、あんたの息子さんが戦争に行って
戦死するようなことあったらどう思いなはる」

 

戦前戦後を生き抜かれたお婆さんの一言です。
ドキッとしました。

 

わたしら戦前の教育を受けていたからそれが当たり前、
かえって名誉な事やと子ども心に思っていました。
今の時代から見たら考えられん事ですわ。

 

うちは父が兵隊に行くには歳とってたさかい、いかなんだ。
おまけに、兄がいない家やったさかい
お国の為に兵隊に出さん事、つまり役にたたんということは
何となく世間さまに申し訳ないことやと思っていました。

 

隣村で戦死しゃあはったとき、葬式の行列が立派で
軍服に白いタスキをかけて周りを日の丸で囲まれて
いるのみたとき、お国の為に立派 に尽くされたんだと
ほんとに思ったもんです。
影で家の人が泣いてるとも知らんと。

 

8月15日の終戦の日、畑で水車を回す手伝いをしてて
父が、「なんや、お昼に天皇さんが話あんねんて」
ということで家に帰ると、いつもは昼の間、足洗ったこと
ない父が足をきれいに拭いてラジオを聞いてんねん。

 

天皇さんの放送が流れても国民学校初等のわたしには
何のことか分からへんかったのですぐに遊びにでました。

 

友だちから、「日本負けてんで」って聞いたとき
「そんなん、ぜったいあらへん!嘘やろ」と、
本気で思ってました。

 

だから教育って一つ間違うたら怖いもんでんなということ
今の時代やからこそ、つくずく思いま。

 

こころに響く、語り継がなければならない
お婆さんの言葉です。

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